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「孤独感をつながりに変える」~新栄テラスから

約 6 分
「孤独感をつながりに変える」~新栄テラスから

福井県は典型的な車社会だ。

「家と職場の往復だけ」と言う人も決して少なくはない。

これを「ドアトゥードア」ともいう。仕事、家での休息、現代の人が生きていくに必要なことを満たす最低限の生活。合理的なようでいて、必要最低限の出会い、関わり、やること(仕事)ってなんかさみしいと感じる人も多いのではないだろう。

福井だけでなく、公共交通機関が発達しない地方では、こんなライフスタイルが進んでいる。人とのかかわりが希薄になってきて、つながりが弱く、孤独感を持つ人が多くなる。そんな動きに逆行して、新たな人と人とのかかわりを生み出そうとしている人がいる。

こんないいところが地元にあるんだ!

その人は、中上久範さん。 中上さんは、福井駅西口にある「新栄テラス」という公共スペースの前に アウトドアショップCANVASというお店を開いている。

2年前に福井に帰ってきたとき、「こんないいところがあるんだ」とこの新栄テラスを知って活用したいと思ったことから、お店をこちらにオープンしてこの地域のまちづくりにも携わるようになった。

アウトドア用日のテントなどを販売する中上さん。お店CANVASの前で。

「新栄テラス」とは?

新栄テラスは、福井駅西口から徒歩3分の場所にある。

上の地図にある「北の庄通り」から細い道に入ると、昔ながらのお店と新しい個性的なお店が並ぶ独特な場所がある。 「新栄商店街」 というこの一角に、新栄テラスはある。オーガニックな飲食店「深緑」、「みんなの保健室」などここ数年の間にオープンした個性的なお店を取り囲んで存在している。

土日には、マルシェが開いていることもある。

新栄テラスは、公共のスペースなので、誰もがここでイベントを開いてもいいし(事前に運営する団体「新栄リビング」に許可が必要)、このベンチに座ってもいい。

ここは、もともとあったパーキングを更地にして2016年に生まれた。

福井大学と福井市による社会実験を経て、 (中略) 2019年4月からは任意団体「新栄リビング」を発足させ運営を行っております。

https://shinsakae.wixsite.com/terrace より

この新栄リビングの代表が中上さん。この新栄テラスの管理をしながら、この公共スペースの活用を考えている。

テントを駅前の街中に置いたら面白そう!

「2年前に福井に帰ってきて、たまたまこの空間を見たとき、いいな、こんなところがあるんだなって思いまして。ここを活用できそうだなって。

この街中であえてアウトドアのテントを置く。お客さんに驚きを持って駅前にテント立っているんだなって感動を与えられたらいいなって思いました。

お客さんに感動を与えたい。そこからここにお店を置きたいなって思いました」

僕のお店は基本ネット販売なので、お店を開く必要もなかったんですが、人に見せたかった。郊外にいると、孤立するなと思ったんです。

そんな思いで、2018年4月からこの新栄テラスの前にお店を始めました。たまたま、ここの大家さんが昔の知り合いだったんです」

お店を新栄テラスに置いたことから、中上さんのこのエリアでの人とのかかわりが始まるようになった。それが新栄テラスに人と人とのかかわりを生み出すまちづくりの活動に携わる始まりだった。

まちづくりのきっかけは「手足りんから手伝って」

「ビアガーデン (毎年ここで行われているイベント) をやる際に、『手足りんから手伝って』って下着屋さんに言われたのがきっかけでまちづくりに関わるようになりました」

と話す中上さん。このビアガーデンがきっかけとなって、新栄テラスの前に置いた店の店主は、さらにこの場所との縁を深めていった。

「最初はいろいろと大変だったようですけど、僕は途中からで何も知らなくて、今関わっている学生さんたちともそうやって知り合った。

それからもっともっと外部の人に使ってもらいたいと思っています」

「テントの公園」って言われたい

子どもたちにたまに「テントの公園」って言われることがうれしいです」と話す中上さん。

公共スペースとしての認知をもっと進めたいと考えている。

ただ、今の課題はイベントの集客。

現在は、この新栄テラスで月1で野菜のマルシェと夏にはビアガーデン、単発のイベントがあるものの…まだまだのようだ。

「せっかくイベントをしてもらっても集客が難しいのが課題。

自分たちが主催するのではなく、どうやってもらうか。

学生さんたちにも企画側に入って、出展者を入れてもらうにはどうするか、ということを言っています」

2019年、仕掛けとしてやったのは、音楽を掛けて、照明をつけて、電車通りにいる人たちに声かけて、なんとか来てもらおうとしたこと。

「ウェブ上での発信と駅前を歩いている人たちへの声掛けと、周辺のお店さんとのやり取り。普段からこの辺をうろうろしていい声も悪い声も聞けるようになりました。前までは新栄テラスでのことを誰に言ったらいいのかわからなかったみたいですね。

同じ新栄商店街という場でお店を営む人同士、あるいはふらっと歩くお客さん、それぞれに少しずつ少しずつ関係を作っていくことで、今ある課題の改善を見出しながらこの場所と人とのよりよい関係性をつくっている。

「この場所いいな」から始まった新栄テラスを前にお店のオープン。そこでお店同士の人間関係が生まれ、新栄テラスが公共の場所として、もっと親しまれることを目指している。

個人の顔が見える、集まれる場をつくりたい

「そもそも商売って人とのかかわりの中で生まれ、そのなかで発展していくもの。

僕自身の事業として、誰のために何をするのか、ということを常に考えています。

郊外に車で買い物に行って、そのなかでライフスタイルが完結しちゃうのではなく、個人の顔が見える、集まれる場をつくりたいのです。

中上さんはこんなことを大事にしている。

  • 誰かと活動できる
  • 使命感を持ってやっている

「商売を始めて、このお客さんのために商品をそろえて、この人のために商売を頑張ろう、そんな感じです」

ネット販売を中心とする中上さんは、仕事上ではなかなかお客さんの顔が見えない。

だからこそ、歩くことを中心とする福井のこの駅前にお店を置き、顔を見て関われる活動をしているのだろう。

ライターを仕事としている筆者もまた、最近はweb上での仕事が大半となり、「ターゲット」「ペルソナ」といった見えない相手に原稿を書くようになり、時々、実態がなく感じることが少なくない。そして、基本は車での移動なので、ふらっと立ち寄るとかそんなことがほとんどなく、ほとんどが目的にもとづいた行動だ。

偶発的な出会いがなく、さらに筆者は通勤もなく、フリーランスなので、決めた人としか会うことはない。合理的と言えばそうだけど、何かしらの孤独感を抱えて生きているのも実際。

中上さんの活動は、車社会、郊外社会のなかで抱える孤独感を持つ人たちに、示唆を与えるものかもしれない。

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福井で観光しよう!っとなって、まず思い付く物は恐竜だと思います。 しかし、福井ってそれだけ?って思う人も、いるのではないでしょうか。 私は、県外から引っ越してきて、福井県の良いところってそれだけじゃないよ!って思う所が多々あり、その良さを伝えたい!っと思いました。この場を借りて、福井の様々な訪れて欲しい場所や、新鮮でおいしい食べ物を紹介させて頂きたいと思っていますので、どうかよろしくお願い致します!
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